
アパートやマンションのオーナーの立場からすれば、敷金や礼金をできるだけ多く設定しておくに越したことがないでしょう。敷金は安心材料となりますし、礼金は収益増へと直結します。
しかしながら、物件を借りる立場からすれば、敷金と礼金のいずれも負担にすぎません。できるだけ少ない設定のほうが歓迎できるのは当然のことといえます。実は、敷金と礼金の設定に関しても、需要と供給の関係が深く関わってきます。
人気エリアはオーナーが強気?
最初に結論から述べておけば、敷金・礼金の設定(相場)はエリアの人気ぶりによって異なってくるといっていいでしょう。つまり、人気エリアはオーナー側にとって有利な設定にしやすく、一方で不人気エリアは借り手側が主導権を握りがちという背景がうかがえます。
改めて説明しておくと、そもそも敷金とは、物件を借りる人がオーナーに預けておく保証金です。賃料を滞納した場合の補てんや、退出時における入居者の返上回復義務に伴う修理負担分などに充てられます。
これに対し、礼金はその名の通り、借りる側が入居させてもらうお礼の意味合いで支払うもので、敷金のような返還義務はありません。オーナー側からすると、いわばボーナス的な収入といえます。
このようなことから、賃貸需要の高いエリアではオーナーは相対的に多めの敷金・礼金を設定しやすい環境です。逆に需要の低いエリアではどちらも不要とするばかりか、フリーレント(入居後1〜3ヵ月程度の賃料を無料化)を付けて入居者を獲得しようとする動きもみられます。
つまり、賃貸物件のあるエリア一帯の敷金・礼金の平均的な設定をみれば、そのエリアが借り手側にとって人気があるのか否かを把握できるのです。
そのため、「敷金・礼金なし」が常識化しているエリアである場合、かなり需要が低いか、需要はあっても供給過剰で競争が厳しいかのどちらかである可能性が考えられます。「敷金・礼金なし」としながらもさりげなく、もとの賃料設定を周辺と比べて高くするオーナーもいますが、その場合はなかなか借り手がつかないものです。
不動産経営で注目したいバロメータ
もちろん、敷金や礼金に関する慣習は東西でも大きく異なっており、各々の土地柄も踏まえるべきだという声もよく聞かれます。とはいえ、いずれの地域でも相場に直接的な影響を及ぼすのは需給であり、その意味では敷金・礼金に関してオーナー側が強気で臨める状況は非常に好ましいといえます。
安定して高い需要が見込まれ、敷金・礼金に関しても相対的に高めの設定を望めるところが、人気があり無難なエリアであるといえるでしょう。
もしも、すでに賃貸物件のオーナーとなっている場合は、そのエリアにおける賃料の相場はもちろん、敷金・礼金の相場も念頭に置いて、今後に見込まれるフロー(不動産から得られる定期的な収入)を見積もる必要が出てくるでしょう。
これから不動産系経営を考えている人にとっては、敷金・礼金相場まで踏まえたそのエリアの人気を吟味し、より大きな成果を期待できる不動産投資を実践したいものです。
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