
アパート経営をしているときは、原則確定申告をしなければいけません。その確定申告の中には、アパート経営に必要な「経費」も計上できます。何の項目を経費計上できるかを把握しておけば、節税にもなります。そこで今回は、アパート経営において計上できる6つの経費について解説します。
確定申告をすべき人と確定申告の流れ
確定申告をすることが定められている方は、第一に給与所得がある、第二に公的年金等に係る雑所得のみで、所得控除を差し引いた際に残額がある、第三に源泉徴収されない退職所得があり他に所得がない、第四に第一から第三以外で、所得税額から配当控除額を差し引いた際に残額がある方になります。
一般のサラリーマンやアルバイト、パートといった方の多くは第一に当てはまりますが、多くの正社員の場合は源泉徴収・年末調整によって企業側が所得税を精算しているため、その場合は確定申告が不要となります。ただし給与の収入金額が2,000万円を超える場合や各種所得金額が20万円を超える場合、給与所得以外に副業や投資など所得があり年末調整をしていない給与と各種所得金額の合計が20万円を超える場合などで、なおかつ「所得金額から配当控除額と年末調整の際に控除を受けた(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額」を差し引いた後に残額がある際には確定申告が必要です。(※国税庁http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2024.htmより)
確定申告は毎年所定の期日(原則として2月16日~3月15日)内に行う必要があります。税務署に確定申告書を郵送するか持ち込む方法と、e-Taxと呼ばれるインターネットを通じた電子申告で行う方法があります。確定申告の際には、確定申告書と共に源泉徴収票の原本や医療費の領収書などが必要となります。
確定申告を行うと税額が計算され、必要に応じて納税または還付手続きを行います。納税の場合にはe-Taxによる電子納税、口座振替、金融機関や税務署への現金納付、クレジットカード納付を選択することができます。税金を払い過ぎていた場合は還付となり、手続きを行うことで差額を預貯金口座またはゆうちょ銀行店頭・郵便局にて受け取ることができます。
青色申告と白色申告の違いとは
確定申告は青色申告と白色申告の2つに分けられます。まずはその違いを整理し把握しましょう。
1. 青色申告
・「青色申告承認申請書」をその年の3月15日までに納税地の所轄税務署長に提出する必要がある
・複式簿記による記帳(65万円の控除を受ける場合。単式簿記の場合、最高10万円の控除となる)
・事業所得・不動産所得・林業所得がある人が申告可能
・妥当であれば配偶者や親族への給与も金額制限なく経費となる
・損失を3年間繰り越し可能
2. 白色申告
・単式簿記による記帳でもよい
・親族への給与は配偶者86万円まで、それ以外の者は50万円までの制限がある
記帳や手続きの面で手軽なのは白色申告ですが、所得から控除できる項目が多いのは青色申告です。アパート経営をする際には節税効果を考え、青色申告を行うことをおすすめします。
経費として計上できるもの
アパート経営で経費として計上できるのは大きく分けると、ローン利息、損害保険料、修繕・クリーニング費用、租税公課(固定資産税、不動産取得税、登録免許税、事業税など)、減価償却費、その他費用(手数料、委託管理費、通信費、広告宣伝費、水道光熱費など)の6つです。
ローンを組んでアパートを取得している場合には、利息に該当する費用を経費として計上することが可能です。建物に付保している火災保険や地震保険費用、共用の水道や電気料金、退去に伴う室内の修繕費用やクリーニング費用もなども経費にすることができますので覚えておきましょう。物件を所有しているだけでかかる固定資産税や、物件取得時にかかる不動産取得税、そして経年劣化していく減価償却費も経費として計上できます。
税理士や弁護士に依頼する場合には、その報酬も経費計上が可能です。どこまでが経費かわからないという場合には、プロに相談するとよいでしょう。
所得税額の計算方法と還付金について
アパート経営における所得税額は、「年間賃料収入-年間経費」で計算されます。例えば、「年間賃料300万円、年間経費180万円」の場合には、年間の不動産所得は120万円(300万円-180万円)になります。つまり、この120万円に所得税がかかってきます。120万円に税率をかけたものが税額となり、税額控除がある場合にはそこから差し引いた額が納税額となります。
注意したいのが、不動産所得は「総合課税」のため、給与所得などのほかの所得と合算して計算される点です。また、所得税の税率は累進課税を採用しているため、所得金額によって税率と控除額が異なります。
たとえば、不動産所得が120万円あり、給与所得が500万円とします。その場合は所得が合算で620万円となり、「330万円を超え695万円以下」に該当するので、税率が20%となります。
また、場合によっては支払い済みの税金が還付されることもあります。サラリーマンはある一定の所得税を、毎月会社に源泉徴収という形で給与から差し引かれています。仮に不動産所得がマイナスになったときには、損益通算ができるので、給与所得などの別の所得から差し引くことが可能なのです。そのため、差し引いた分の所得税が還付されることがあります。
たとえば、不動産所得で赤字が100万円発生し、給与所得が500万円だったとします。そのときは総合課税になり、所得金額は400万円という計算になるので、その400万円に所得税がかかります。しかし、源泉徴収されている額は500万円をベースに考えているため、税金を多く徴収され過ぎているのです。そのため、多く徴収され過ぎた税金が還付されるという仕組みです。
アパート経営には経費で節税が必須
今回は確定申告とアパート経営の際に計上できる経費の種類、税額の計算方法についてご紹介しました。アパート経営では節税がカギとなるため、適切に経費を計上して利益を上げたいものです。
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