
販売会社と契約を締結しても、それで大家になったわけではありません。ローン特約といって、ローン審査が通らない場合は解約になってしまいます。
融資が実行され、売買代金の支払い(決済)が終わって初めて正式に効力を発揮するのです。今回は融資審査についてみてみましょう。
不動産投資におけるローンとは
ローンを組む際、大きな借金は初めてで戸惑う人もいるのではないでしょうか。まず不動産投資におけるローンについて考えてみましょう。
借金にはマイナスのイメージが強いですが、実は良い借金と悪い借金があります。浪費や消費のための借金は何もプラスをもたらしてはくれませんが、投資や事業のための資金調達という借金は経済を活発にし、リターンをもたらすのです。
2%の金利で資金調達して、アパート経営で8%の利回りで運用すると、8−2=6%の金利差(イールドギャップ)が発生します。事業にかかる経費がその金利差の範囲内で収まれば、残りが利益になるわけです。
ただ、当然ながらリスクはあります。それは、返済できなくなった時の破綻リスクです。額が大きいだけに最悪の時が心配になりますよね。実際にはどれくらいの破綻確率なのでしょうか?
不動産投資への融資で有名な某金融機関の決算をみると、不良債権の引当金で融資残高の1~2%程度。これは与信不安や延滞を含めています。その中で実際に破綻になるのは0.2~0.3%程度といわれています。500人に一人。それほど大きな数字ではありません。
事前に賃貸業の損益構造を理解し、しっかり計算したうえで臨めばそんなに簡単に破綻するわけではありません。バブル期のように短期の値上がり益を狙ってのハイリスクな投資法ではないのです。
アパートローンの仕組み
そもそも、どうして普通の会社員が融資を受けられるのでしょう? 以前は土地を持つ資産家や事業を営む経営者でなければローンは組めませんでした。この従来からの事業を対象としたプロパーローンに対し、給与を返済原資とした会社員向けの新しい融資パッケージがアパートローンなのです。
アパートローンの場合は年収基準のため、給与の20~30倍が与信限度額となります。例えば年収600万円なら、1億8,000万円が上限。大きな金額になり、これが会社員でもアパート経営が可能になる理由です。
融資枠があっても、最初から限度額いっぱいに借りないことが肝心。賃貸経営のコツを掴んでからでも規模拡大は遅くはありません。長期にわたる契約です。会社の倒産やリストラ、転職などがリスクとなることは覚えておきましょう。
ローン審査を受ける
審査では資産状況や勤務先の安定度、年収の多寡がチェックされます。3年分の確定申告書、または源泉徴収票や納税証明、免許証などの本人確認書類、金融資産の証明(預金通帳の控えなど)等を提出します。
融資申し込みでは金額と返済期間、金利の固定期間を記載します。金利は銀行からの提示となり、自分からの申請はできません。アパートローンであれば各行の基準があります。
返済期間は建物の法定耐用年数以内が原則。木造アパートは耐用年数22年のため、その範囲内となります。ただ新築の場合は金融機関によって特例があり、30年程度まで設定が可能です。
金利の固定期間には、利率を固定せず半年単位で見直す変動金利や3~10年の一定期間金利を固定するメニューなどがあります。将来の金利動向は分かりませんが、今が史上最低ラインなのは間違いありません(2017年現在)。5年程度の固定金利がいいでしょう。
連帯保証人を求められることもありますので、ご家族の理解は必須です。あくまで家族の応援の中での大家を目指しましょう。
必要書類を出してしまえば、特にすることはありません。約1ヵ月、審査結果を待つだけです。融資が実行され、初回支払いが終わると工事着工。さあ、いよいよ大家になる日が目前です。
【もし大家になってみるなら?!】シリーズ
・もし大家になってみるなら?!アパート経営の契約から管理まで #1(物件決定編)
・もし大家になってみるなら?!アパート経営の契約から管理まで #2(契約編)
・もし大家になってみるなら?!アパート経営の契約から管理まで #4(建築編)
・もし大家になってみるなら?!アパート経営の契約から管理まで #5(入居者募集編)
・もし大家になってみるなら?!アパート経営の契約から管理まで #6(収入編)
・もし大家になってみるなら?!アパート経営の契約から管理まで #7(経費・節税編)
・もし大家になってみるなら?!アパート経営の契約から管理まで #8(管理編)
・もし大家になってみるなら?!アパート経営の契約から管理まで #9(総集編)