
初心者が収益物件投資をはじめる際に一番気をつけるべきことは、不幸にしてリスクが具現化したときの対応です。収益物件投資に必要な自己資金も、リスクへの備え方が分かれば自ずと明らかになることでしょう。
収益物件とは?
収益物件とは毎月一定の賃料収入を得られるアパート、マンション、オフィスビルなどのことです。要するに大家さんが所有している不動産です。
収益とは売上のことです。つまり一定の賃料収入を得られる事業用不動産を収益物件と呼んでいるのです。他人に賃貸して収入を得ることを前提とする物件を指し、自宅の空き部屋を甥っ子に貸したり、使わなくなった事務所を娘夫婦へ一時的に賃貸したりしている場合は、賃料収入を得ていても収益物件とはいえないでしょう。
必ず儲かる不動産を収益物件と呼んでいる訳ではないため、「収益物件に投資しませんか?」と声を掛けられたときは、単に投資の誘いを受けたに過ぎないと認識することが重要です。
語感から収益物件投資は、高度な知識やスキルを持つ専門家が行うものと思われるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。基礎的な情報収集と分析を行えば、初心者でも十分にやっていけます。
収益物件投資のはじめ方
投資家にとって意味のある収益物件は、利益(収益-費用>0)を確保できる物件です。つまり将来の利益を合理的に予測できる収益物件が投資に値するものとなります。
将来の利益予測には専門的なノウハウが不可欠との印象を受けるかもしれませんが、それほど難しくありません。確かに利益額を精緻に予測することは大変ですが、個人投資家は損益分岐点を把握できれば十分なため、あまり堅苦しく考える必要はないでしょう。
不動産投資における収入、費用項目はほぼ一定です。また各項目の金額が変動する要素も概ね決まっています。
管理委託費、修繕費、火災保険料、固定資産税などの費用は過去の実績(当該物件または類似物件)から合理的に予測できます。借入金利息の変動予測は困難ですが、一般的に高金利時は不動産市況も好調で稼働率・賃料とも上昇する可能性もあり、必ずしも金利上昇が赤字につながるわけではないと考えられます。
このため端的にいえば、空室率予測をしっかり行えば赤字リスクを大幅に低減できます。もっとも、空室率の精緻な予測はプロでも難しいため、初心者が収益物件投資を始める際には、都心・駅チカなど人気エリアの空室率を想定しやすい物件からはじめることが無難です。
最初に必要な自己資金は?
自己資金ゼロでも投資は可能です。自己資金と借入金の適正比率に関する一律の答えはありません。
自己資金ゼロの投資で失敗すると取り返しがつかないという意見もありますが、大事なことは自らの資産全体でリスクをコントロールすることです。
失敗に備えるという意味では、元利金返済に充当できる他の収入や資産を把握することが重要です。
例えば月額の賃料収入100万円、諸経費60万円、借入金返済額30万円、利益10万円を想定した場合、稼働率が90%を下回ると借入金の返済資金が不足します。このとき他の収入から毎月20万円を借入金返済に充当できれば、稼働率が70%を切るまで元利金返済が滞りません。
どんな物件でも稼働率100%を維持し続けることは困難です。部屋数20戸でも2部屋空きが出れば稼働率は90%です。一時的に稼働率が低下することは自然であり、そうした事態になっても物件を手放さずに済むよう毎月の借入金返済額を設定することが大切です。
投資にリスクはつきものです。それをゼロにする方法は「投資しない」こと以外ありません。しかし、投資しなければリターンもゼロです。不幸にしてリスクが具現化する可能性を予測して、それを吸収できる備えをした上で投資に臨むことが大切ではないでしょうか。
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